【建設業許可】専任技術者要件⑬ 板金工事業の場合
こんにちは。静岡県富士市の行政書士、髙橋なつきです。
建設業許可要件の中でも営業所の専任技術者に関する要件ついて、建設業許可29業種それぞれについて説明をしていくこのシリーズ、第13回目の今回は板金工事について、専任技術者となれる国家資格及び実務経験要件について、説明していきたいとおもいます。
なお、今回説明する内容は一般建設業許可に関するものとなります。特定建設業許可とは要件が異なりますのでご注意ください。
板金工事とは
板金工事とは、
金属薄板等を加工して工作物に取付け又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事
をいいます。
具体的な工事としては、板金加工取付け工事や建築板金工事が該当します。
「建築板金工事」とは、建築物の内外装として板金をはり付ける工事をいい、具体的には建築物の外壁へのカラー鉄板張付け工事や厨房の天井へのステンレス板張付け工事等をいいます。
「瓦」「スレート」及び「金属薄板」については、屋根をふく材料の別を示したにすぎず、また、これら以外の材料による屋根ふき工事も多いことから、これらを総括して「屋根ふき工事」とされます。したがって板金屋根工事も「板金工事」ではなく「屋根工事」に該当します。
(建設業許可事務ガイドライン別表1:平成13年国土交通省建設業課長通知第97号より)
専任技術者とは
専任技術者とは、建設業許可要件で
営業所ごと・許可業種ごと配置することが義務づけられています。
建設工事に関する業務を行うにあたり専門の知識を有すると認められる者の中で、営業所に専任で常勤している者が該当します。
専門の知識を有すると認められる者とは、建設業に関する国家資格や実務経験を有する技術者のことをいい、具体的には、
➀ 一定の国家資格
➁ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して一定の実務経験を有する者
➂ その他※海外での工事の実務経験を有する者で、当該経験の内容につき国土交通大臣の個別審査を受け、一般建設業の営業所の専任技術者となり得る者として、その認定を受けたもの
が、該当します。
➂のその他に該当するケースは非常に稀で、➀一定の国家資格又は➁一定の実務経験をもって専任技術者の要件を満たすことがほとんどかと思います。
板金工事における専任技術者 資格要件
➀ 一定の国家資格を保有していること
板金工事において、専任技術者として認められる国家資格は下記の通りです。
下記の資格を一つでも保有していれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
- 建築板金「ダクト板金作業」(1・2級) ※ 2級は3年の実務経験要
- 工場板金(1・2級) ※ 2級は3年の実務経験要
- 板金「建築板金作業」・建築板金・板金工「建築板金作業」(1・2級) ※ 2級は3年の実務経験要
- 板金・板金工・打出し板金(1・2級) ※ 2級は3年の実務
- 登録建築板金基幹技能者
一定の国家資格は他の建設業種でも専任技術者要件として認められるものもあります。
取得したい建設業種が複数ある場合は、戦略的に資格取得の計画を立てていくことをお勧めします。
➁ 一定の実務経験を有すること
板金工事における専任技術者要件を実務経験で満たす場合、板金工事に関し10年の実務経験を有する必要があります。
ただし、国土交通省令で定める学科を卒業した者については、実務経験要件に必要な期間が緩和されます。
板金工事では、建築学又は機械工学に関する学科を卒業している場合、卒業学校に応じて実務経験が3年または5年に緩和されます。
まとめ
今回は板金工事における専任技術者要件について説明しました。
専任技術者は、建設業許可を取得するためには営業所ごとに必ず必要な者になります。
専任技術者が辞めてしまい、他に該当する技術者がいない場合、建設業許可要件を満たすことができなくなり、許可そのものの存続が困難になってしまいます。
専任技術者が辞めた場合は、14日以内に届出が必要ですが、届出をせず、専任技術者不在のまま操業し続けてしまうと、許可の取消など重い処分がなされ、事業に大きなダメージを与えることとなります。
そうならないためにも、専任技術者要件を満たす人材の確保や社内での資格取得など、スキルアップの奨励、そして従業員が引き続き働き続けたいと思うような職場環境づくりが大切になってきます。
建設キャリアアップシステムによる評価やキャリアの見える化も、職場環境を向上させるには有効でしょう。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。
富士市の行政書士、髙橋なつきでした。
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