建設業許可をとるべき理由

こんにちは!静岡県富士市の行政書士、髙橋なつきです。

建設業を営む事業者さんとお会いすると、

「建設業許可をとりたいんだよね」

とか、

「元請から許可を取るように言われてます」

といったお話を耳にすることがあります。

建設業許可を取りたいと考える理由は人それぞれですが、建設業を営む事業者様なら、一度は建設業許可について検討されたことがあるのではないでしょうか。

また、建設業に従事している方なら、一度は建設業許可業者が掲げている看板(通称”金看板”)を目にしたことがあるのではないでしょうか?

当事務所で建設業許可申請をさせていただいたとある事業者様は、

「この看板に憧れてたんだよ~!!」

と、できたての金看板を嬉しそうに見せてくれました。

金看板には、事業所名、住所等のほかに、建設業許可業種や許可番号も記載されます。

きらきらと輝く看板を嬉しそうに、誇らしそうに持つ業者さんを見て、

建設業者さんにとって、「建設業許可を取って金看板を持つ」ということが、とても特別な事なのだということを改めて感じた出来事でした。

では、建設業許可について、どのような目的に基づいてその許可の有無が判断されているのか、ご存知でしょうか。

「500万円以下の工事は許可が不要なんだよね?」

と、許可が必要か否かの判断に関する部分はご存知な方も多いかもしれません。

しかし、肝心の建設業という産業を「許可制」としている理由については、よくご存じない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、なぜ建設業が許可制であるのかについての私の見解と、それを含めて私が

「建設業許可は取っておくべき!」と考える理由についてブログに書いていきたいと思います。

「500万円以上の工事なんて全く請けないから、建設業許可を取る気はない」

と考えている事業者様にも、是非とも読んで頂きたい内容となっていますので、良かったら最後まで読んでみて下さいね^^

では、始めていきましょう!

建設業許可が必要な工事・不要な工事

本題に入る前に、建設業許可が必要な工事・不要な工事について説明をしたいと思います。

日本で建設業を営む者には、「建設業法」という法律が適用されます。

法律とは、国家による国民に対するルールですが、建設業法については、建設業に関するルールを定めたものといえます。

55条からなるこの法律では、建設業許可について、建設工事の請負契約について、施工技術の確保についてなど、建設業に関するルールを定めています。

建設業法では、許可が必要な工事について、以下のように説明しています。

(建設業の許可)

第三条 建設業を営もうとする者は(中略)、二以上の都道府県の区域内に営業所(中略)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

建設業法 | e-Gov法令検索

建設業法第三条前段では、「建設業を営もうとする者は~許可を受けなければならない」としており、

建設業を営む者は許可が必要であると定めています

一方、同条但し書きとして「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う事を営業とする者は、この限りでない」とし、

建設業許可が不要な場合の例外規定を設けています。

ここでいう「軽微な工事」とは、

【建築一式工事の場合】

1)工事一件の請負代金の額が、税込1,500万円未満の建設工事

2)延べ面積が、150㎡(45.38坪)未満の木造住宅工事

のいずれかに該当する建設工事を指します。

【建築一式工事以外の場合】

1)工事1件の請負代金額が税込500万円未満の建設工事

に該当する工事を指します。

建設業法では、上記「軽微な工事」のみを請け負うことを営業とする者は、必ずしも建設業の許可を受ける必要はないと定めています。

そもそも、なぜ建設業は許可が必要なのか


建設業を営もうとする方は、軽微な工事を請け負う場合を除き、建設業許可が必要であることは分かりました。

では、そもそもなぜ建設業を営むには許可が必要なのでしょうか?

世の中数多あるお仕事の中で、商いをするのに許可が不要なケースは多くあります(その方が多いかもしれません)。

にもかかわらず、なぜ建設業を生業とするには許可が必要なのでしょうか。

そのヒントは建設業のルールを定める建設業法の中にあります。

ここで、建設業法第1条の目的を見てみましょう。

第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

建設業法 | e-Gov法令検索

第一条には、建設業法の目指す目的が書かれています。

第一条では、

「建設業を営む者の資質の向上」や「建設工事の請負契約の適正化等」により、(手段)

「建設工事の適正な施工を確保」と「発注者の保護」、「建設業の健全な発達を促進」することを目指し、(目的)

「公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」(最終目的)

ということを伝えています。

つまり、建設業法が目指す究極の目的は「公共の福祉の増進に寄与する」ということなのです。

建設業は重要な基幹産業。だからこそ健全な発達の促進が大切

建設業という産業を見渡してみると、実に多くの場面で、私たちが建設業による恩恵を受けていることが分かります。

皆さんがいま住んでいる住宅、勤務しているオフィスの入ったビル、車で移動する時に通る道。。。

更に毎日飲んでいる水道水が安定的に供給されていることも、生活排水が滞りなく処理されているのも、

建設業のお陰という部分が大きくあります。

こういった社会インフラを安全に、安定的に利用するために、建設業者の方の力は非常に大きいのです。

また、産業に従事する人の数で言っても、建設業は、全産業就業者のおよそ1割が従事し、関連する産業を加えると約3割が従事する我が国の基幹産業であり、国民経済に大きな影響を及ぼしている(参考:「建設業法と建設業許可 行政書士による実務と解説」より)産業であるといえます。

例えば、新築で住宅を建てたにも関わらず、ずさんな施工方法により建物が破損してしまったら。

排水管がしょっちゅう破裂してしまったら。

走行中に道路が崩れてしまったら。。

私たちの社会生活に大きな影響を及ぼしてしまいますよね。

建設業に関わる従業者が、劣悪な環境で休みも取れずに工事をさせられていたら。

社会保険もなく、不安定な働き方を余儀なくされていたら。。。

安定的な工事をし続けることはできないのではないでしょうか。

建設業は社会への影響の大きさから言っても、従事者数でいっても国の大きな基幹産業であることは間違いありません。

だからこそ、工事が適正に行われる状態を確保し、建設業全体の健全な発展を促進する必要があるのです。

そこで、建設業法では、

➀手抜き工事や祖雑工事などの不良工事を防止 するとともに、さらに積極的に適正な施工を実現して、発注者の保護をすること

➁建設業は、住宅、道路、上下水道、学校、事務所、工場などの個人生活や社会生活の基盤となる諸施設の整備を担う大変重要な産業で、国民経済と深くかかわっていること

上記の2点から、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的としているのです。

建設業許可は、工事の適正な施工を実現するために必要な要件を許可要件とし、行政によるスクリーニングをかけることで、一定水準の能力を担保された業者であることが証明されるという意味でも、非常に大きな意味のある制度であると考えます。

建設業法の目的に照らしても、そして何より私たち国民が、安心して日常生活を送るためには、しっかりと基準をクリアした施工業者が、自社の責任の基に安全な工事を行うことが何よりも大切ではないでしょうか。

近年、500万円未満の工事であっても、元請業者から資格取得を求められることが多くなったと聞きます。

また最近では、大規模災害の際に不適切な開発行為が問題となるケースもありました。

これにより、今後業界全体として不適切な行為を行う事業者を取り締まる動きは高まる可能性があります。

建設業とて他人事ではなく、不適切な施工をせず、安全に施工をするという信用が今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。

そして、建設業許可を取得するに足る能力と信頼を持っているということが今後ますます評価されていく流れにあっては、たとえ軽微な工事であっても、許可業者として請け負う方が、発注者や注文者からの信頼を得ることができるのではないでしょうか。

まとめ

本日は、建設業法の視点から許可を取得するということについてお話しました。

建設業許可を取得すると、毎年の決算後の報告や、5年ごとの更新などの必要な事は増えますが、

別途入札参加手続き等は必要ですが、行政が行う入札に参加することが可能になったり、許可業者であるということが一つの信頼にとなり、新たなお仕事につながるチャンスも多分にあると考えます。

建設業許可を取得するためには、許可申請が必要ですが、当事務所では建設業許可取得に関し、手続きを代行させて頂いております。

お忙しい事業者の皆様に代わり、書類作成から申請まで行います。

「そろそろ取得を考えたい」、「話だけでも聞いてみたい」等ございましたらぜひお気軽にご相談下さい。

経営支援に長けたスタッフも常駐しております。経営するうえでのお困り事などもお力になれることがあるかもしれません。

コロナウイルス感染症は、建設業界にも多くの 影響を及ぼしたかと思います。

また、今夏は各地で豪雨に見舞われ、長雨もあり思うように工事を進められなかった方も多いかと思います。

まだまだ先の見通せない日々ですが、少しでもお役にたてることがあれば幸いに思います。

今日も最後までブログをお読みいただきありがとうございました。

今日も明日も皆様にとって良い一日となりますように。

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