実はとても大切な定款の「目的」のおはなし
こんにちは。静岡県富士市の行政書士、髙橋なつきです。
今回は、建設業許可をはじめ、各種許認可を取得する際に必ずといっていいほどポイントとなる、
定款の目的についてブログを書きたいとおもいます。
定款とは「会社のルールブック」です
定款とは、一言でいうと「会社のルールブック」のようなものです。
ルールとは、簡単にいうと「私の会社はこんなことをして、〇月〇日を基準に決算をして、約束を決めるときはみんなを集めて行って~・・・」といった、会社を運営する上でのルールのことをいい、定款では、これら会社運営で必要なルールを定めています。
会社を設立する場合には、その会社のルールを定める「定款」を作成し、会社のルールを定めたのち、外部に公示するための「商業登記簿」の申請を行うことで、会社は存在することになるのです。
定款に似ているものとして、法務局にて取得できる商業登記簿(登記簿謄本)があります。
定款といわれてもピンとこない方でも、法務局で取得できる登記簿謄本というと、イメージがわく方も多いのではないでしょうか?
登記簿謄本は、定款の内容を踏まえ会社に必要な内容が記載されており、会社にとっての住民票のような存在です。
会社は、「目的の範囲内で権利を有し、義務を負う」
民法34条には、「法人は、定款その他基本約款で定められた目的の範囲内で権利を有し、義務を負う」
と定められています。
(法人の能力)
第三十四条 法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた範囲内において、権利を有し、義務を負う。
民法 | e-Gov法令検索
これは、簡単にいうと「会社は、会社のルールで決められた範囲で活動してね」ということです。
逆に言うと、目的に書かれていないことを会社が行うことはできないということになります。
そのため、許認可の審査行う行政庁は「会社のルールブック(=定款)は、この会社がこの事業を行うことを規定しているのか」を確認するために、定款の目的に許可を受けようとする事業に関する文言が記載されているのか確認するのです。
例えば、建築工事で許可を取得したい場合は定款で定めた会社の目的に「建築工事の請負、施工」という文言が、産業廃棄物収集運搬業を取得したい場合は「産業廃棄物収集運搬業」という文言が記載されている必要があります。
これは、放課後等デイサービスの許可や訪問介護施設の開設など、許認可を必要とするあらゆる事業でも同様で、定款の目的の中に、当該事業を行うことが明記されていることが求められます。
会社のルールブックにやりたいことが反映されているか、慎重に検討を
新規に会社を立ち上げ、許可を取得しようとお考えの方はぜひとも会社の目的づくり(=定款作成)は慎重に行っていただきたいと思います。
「設備も人もばっちりそろえたけれど、定款の目的として当該事業の記載が無かった」となると、そもそも法人としてその事業を行うことが難しくなってしまうケースもあります。
定款の変更手続きをすることは可能なので、必要になった段階で目的を追加することはできますが、そのためには登録のための費用や時間が追加でかかり、金銭面でも時間面でもコストがかかってしまいます。
定款の目的には、「現段階で自社で行うことがきまっている事業」に関する記載はもちろん、「今後行う可能性のある事業」に関する記載も盛り込むかどうか、ぜひ慎重にご検討ください。
特に建設業を営む方の場合、産業廃棄物収集運搬業をセットで取得するケースが多々ありますので、現段階で産業廃棄物収集運搬業を取得する予定がない場合でも、今後の必要性をよく吟味し、目的への記載を検討していただきたいです。
まとめ
今回は、許認可取得の際にポイントとなる、定款の書き方についてブログに書きました。
「会社はルールブック(=定款)に書かれたこと以外をすることはできない」と覚えていただき、今やりたい事業・これからやっていくかもしれない事業をよくよく検討し、定款作成していただけるといいのではないでしょうか^^
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士の髙橋なつきでした♪
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