建設業許可 県知事許可と大臣許可
こんにちは。静岡県富士市の行政書士、髙橋なつきです。
桜や菜の花を目にする機会も少しずつ増え、いよいよ春の訪れを感じる季節になってきました。
新年度に向け、新たな生活をスタートする方も多いかと思います。
当事務所においては例年、この時期は新年度を前に様々な許可申請の問合せを多く頂き、
建設業許可、その中でも「国土交通大臣許可と県知事許可について」ご質問を頂きます。
そこで、本日は建設業許可におけ国土交通大臣許可と県知事許可の違いについてご説明したいと思います。
国土交通大臣許可と県知事許可について
建設業許可には、国土交通大臣許可(以下大臣許可)と県知事許可の2種類があります。
どちらの許可を選択するのかは、各事業者による営業所の設置状況により決まります。
●2以上の都道府県に営業所を設けて営業しようとする場合
=大臣許可
●1つの都道府県のみに営業所を設けて営業しようとする場合
=県知事許可
例えば、静岡県のみに営業所を持つA社は静岡県知事許可、静岡県と甲県に営業所を持つB社は大臣許可を取得する必要があります。
※建設業法における【営業所】とは?
建設業法でいう【営業所】とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことを言います。
「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、契約書の見積もり、入札、契約の締結など、請負契約の締結に係る実質的な行為を行う事務所をいいます。
契約に関する権限を付与されていれば営業所に該当し、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問いません。
一方で、単に登記上本店とされているだけで、実際は建設業に関する営業を行わない店舗や、
建設業と無関係な支店・営業所などはここでいう「営業所」には該当しません。
県知事許可だと県外で建設工事ができない?
上記の通り、国土交通大臣許可と県知事許可は、営業所の設置場所による違いによって区分されています。
営業所は契約を締結できる事務所の事を指すため、
工事に関する請負契約は定められた営業所のみでしか締結することはできません。
しかし、工事自体は大臣許可でも県知事許可でも場所の制限なく行う事ができます。
静岡県にのみ営業所を持つA社であっても東京都や愛知県など、全国の工事を請け負うことが出来ます。
ただし、この場合でも建設工事の請負契約は建設業法上の営業所で行う必要がありますのでご注意ください。
大臣許可と県知事許可で、できる工事に違いはあるの?
大臣許可と県知事許可は、営業所の配置状況で区分されています。
営業所の配置状況の違い以外で、大臣許可と県知事許可を区分するものはありません。
お客様の中には、大臣許可のほうがすごいのではないか?
と思われている方もいらっしゃいますが、営業所の配置状況以外で大臣許可と県知事許可に違いはありません。
申請時の法定費用と証拠書類に違いがあります
ここまで、大臣許可と県知事許可は営業所の配置状況以外に取扱いに差異はないことを説明いたしましたが、
許可申請時の法定費用には両者に差があります。
大臣許可=法定費用15万円
県知事許可=法定費用9万円
また、実務経験を証明するための資料に関する違いもあります。
静岡県知事許可では、実務経験を証明する資料として、
➀契約書
➁注文書+注文請書
➂請求書+入金が確認できる通帳など
が認められていますが、大臣許可の場合は➂での証明が認められません。
既に県知事許可等、建設業許可を持っている場合は
建設業許可通知書によって経験期間を証明することも可能ですが、
許可のない期間に関する証明では、➀又は➁を準備する必要があります。
大臣許可取得を検討される場合は、これらの証明書類も過不足なく用意できるよう、準備しておくとよいでしょう。
まとめ
本日は、建設業許可における大臣許可と県知事許可の違いについて説明いたしました。
大臣許可と県知事許可は営業所の設置状況によって区分されるものであり、それ以外に両者の違いはありません。
また、県知事許可であっても、建設工事は全国どこでも行うことができます
(ただし、見積もりや請負契約の締結は建設業法上の営業所で行う必要あり)
当事務所では、建設業許可申請を承っております。
お忙しい事業者様に代わり、取得のための煩雑な手続きを一手にお請けいたします。
許可に必要な要件を満たしているか、まずがお気軽にお問い合わせください。
それでは、ここまで読んでいただき有難うございました。
行政書士の髙橋なつきでした^^