登録支援機関を選ぶときのポイント
こんにちは。静岡県富士市の行政書士、高橋なつきです。
本日は、特定技能外国人を受け入れる際に関与することの多い「登録支援機関」について、
数ある登録支援機関の中から選ぶ際のポイントを話していきたいと思います。
なお、ここでお伝えするのは私が経験の中から感じたものですので、かなり主観的な部分もあります!
あくまでいち個人の意見ではありますが、皆様の参考になれば幸いです!
では、初めていきましょう~
序章 そもそも登録支援機関って何?
まず最初に、
「そもそも登録支援機関って??」
という方に向けて、登録支援機関についてお話していきたいと思います。
登録支援機関とは、ずばり「特定技能外国人のサポートをしてくれる存在」です。
特定技能外国人とは、2019年に新たに受入れが始まった在留資格です。
人材不足が叫ばれる中、特に人手不足が深刻な分野に限って、外国人に労働力として働いてもらえるようになる在留資格です。
いままでの在留資格では認められていなかった単純労働などの作業的な業務にも従事することができ、労働力・即戦力の確保が期待される在留資格です。
なお、これまでも在留資格「技能実習」があり、これは工場などでの作業等にも従事するケースもありましたが、こちらは日本から外国への技能移転を目的としており、一定年数日本で働き技能を身に着けた上で、母国で活躍してもらう、というのが制度の目的ですので、「特定技能」とは少し内容が異なります。
(もっとも、実際には技能実習が労働力の確保の目的として利用されていた、という側面もあるかと思いますが・・・)
在留資格「特定技能」を取得するためには、
・一定の日本語能力(日本語能力試験N4以上)があること
・従事する職業分野で実施している専門試験へ合格していること
が必要ですが、条件を満たせば日本で働くことができます。
特定技能外国人として日本で働く外国人の中には、初めて日本で暮らす人もいますし、日本での生活や仕事に慣れていく中で、大変なことも多々あるでしょう。
そこで、特定技能外国人を保護する意味で、受け入れる事業者側には以下のような義務が課されています。
受入れ機関には、「外国人への支援を適切に実施すること」が求められることが、在留資格「特定技能」の大きな特徴です。
この外国人への支援については、
必ず行わなくてはならない義務的支援
法定されてはいないものの企業側で定めることのできる任意的支援
の2つがあり、このうち義務的支援については、受入れ機関は特定技能外国人に対して必ず提供しなくてはなりません。
義務的支援として求められているものは、以下のとおりです。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れる際のポイント」より
外国人が日本での生活にスムーズになじむことができるよう、生活の支援から苦情相談受付など、幅広い支援が義務付けられていることがわかります。
この義務的支援については、自社で実施するほか、アウトソーシングすることも可能です。
そして、自社に代わってこれらの外国人への支援を実施する機関が「登録支援機関」なのです。
外国人の生活にも大きく関わり、会社側と外国人の橋渡し役のような存在が登録支援機関ですので、自社に合った登録支援機関と契約することがとても重要です。
しかしながら、「そうはいってもどんな基準で選べばいいかわからない・・」と悩む方も多いのではないでしょうか?
ここからは、どんなポイントで登録支援機関を選ぶべきか、私が考えるポイントを3つお伝えしたいと思います。
支援機関選択ポイント1 実績があるかどうか
まず一つ目は、「特定技能外国人の支援実績があるかどうか」です。特に初めて特定技能外国人を受け入れるなど、受入れ機関(会社)側に、外国人と働くノウハウがない場合は、実績豊富かどうかは、支援を任せる際には優先度高く見ていった方がいいでしょう。
特定技能外国人支援を行う際、特定技能外国人支援計画といって、必要な支援をどのように行うのか計画し、実践していく必要があります。
支援計画を立て、実際に支援した経験のある支援機関であれば、どのように支援を行うかのノウハウがある可能性も高く、スムーズな受入れにつながります。
それ以外にも、外国人を受け入れている間は定期的に必要な届出や報告などもあるため、それら手続きに関しても経験がある支援機関であれば精通している可能性も高いため、安心してお任せできるのではないでしょうか。
また、支援体制も1名ではなく、複数名常駐している機関を選ぶことで、不測の事態やトラブルに陥った際にスムーズに対応してもらえる可能性が高くなりますので、支援できる人員がどれくらいいるか、そこも確認してみるとよいでしょう。
HPで支援実績を公表している先はもちろん、気になる支援機関にはこれまでの支援実績について問い合わせてみてもいいでしょう。
支援機関選択ポイント2 受入れ外国人の母国語に対応しているかどうか
登録支援機関が支援するのは、特定技能外国人です。
外国人に対して日本での生活に関するサポートを行っていきます。
日本での生活の中で、外国人の多くがぶち当たる壁が、言葉です。
日本語での理解が難しい外国人にとって、銀行口座開設や公共料金の支払いなど、言葉が分からず苦戦する場面はかなり多くあるのではないでしょうか。
そんなとき、母国語など外国人の理解できる言葉でわかりやすく説明できることは、支援を行う上で必要不可欠です。
対応言語については、法務省の公表している登録支援機関一覧表で確認することができます。
候補となる登録支援機関が、そもそも受入れ外国人の話す言葉での支援が可能かどうか、確認したうえで依頼するとよいでしょう。
支援機関選択ポイント3 担当者と合うかどうか
3つ目のポイントは、「担当者と合うかどうか」です。
これはかなりその人のフィーリング的な部分になってしまうのですが(笑)、一番といっていい位、大切なポイントです。
お伝えしてきた通り、登録支援機関は外国人の生活全般について支援を行っていくこととなりますし、その中で受入れ機関(会社側)と密に連携をとる必要もでてくるでしょう。
外国人にとっても、受入れ機関(会社側)にとっても、特定技能について悩んだときに真っ先に相談できる相手が登録支援機関なのです。
そのため、相談したらすぐに答えてくれる知識をもっていることはもちろん、困ったときにすぐに話せる関係性が構築できるかどうか、というのは非常に重要なポイントです。
気になる支援機関には、問い合わせをしてみることに加え、担当者としっかり話をしながら
「この人は信頼できるか?」
「話しやすいか?」
など、実際に話していく中で探ってみるとよいのではないでしょうか。
支援機関がパイプ役となり、特定技能外国人と受入れ機関(会社側)をつなぐことで双方働きやすい環境となれば、両者にとって非常に有益です。
登録支援機関を選択する際は、何度か面談等のコミュニケーションを図り、自社と支援機関の相性がいいかどうか、確認するようにしましょう。
まとめ
本日は、特定技能外国人を受け入れる際に関係する登録支援機関について、選択ポイントを3点お伝えしました。
登録支援機関は数多くありますが、中には実績もなく、支援の質(とあえて言います)が低いと言わざるを得ない機関もあります。
外国人に対し提供する義務的支援は必ず行わなくてはならないものです。
その際、ただ支援を行うだけではなく、外国人がきちんと理解できるように支援していくことが、本来登録支援機関・受入れ機関に求められていることです。
外国人材が日本で働きやすい環境を整え、本当の意味での戦力となれるよう、自社に定着していくためには、登録支援機関のサポートは非常に大切です。
「近場にあったから」「HP見てなんとなく」といった理由でなく、自社にぴったり合う支援機関を見つけ、外国人とともに働く良い環境を整えていきましょう!
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
行政書士の髙橋なつきでした。